横井徹 2021/03/17
UTIはCommonな疾患です。でも「いいかげん」に診療しない、臨床セッティング別にプラクティスは違っても尿路感染症マネジメントに対する共通認識は必要、ということを実感するセッションでした。
MKSAP電子版では問題毎にユーザーの選択結果が表示され、米国内の現状がわかります。当日はそれと比較する形で、参加者による選択結果をアンケート集計しながら日米臨床の差などもディスカッションできました。MKSAPをお持ちの方は問題編Item Noと合わせておりますので、参照ください。
原則治療はしない!
膿尿(白血球尿)でも原則治療不要
(不適切な抗菌剤使用は耐性菌を生む)
妊婦および、侵襲的尿路手術手技予定例のみ「治療する」
したがって、この場合ABUの有無確認のためスクリーニングを行う
上記以外では、ルーチンで尿検査をしない→いわゆる「UTI」は診断エラーの宝庫だから
矢吹先生の経験例も必見です
「UTI」としてフルオロキノロン使用後残念な転帰をとったケース(21:43~)
尿培養は基本不要
ただし、複雑性、耐性菌リスクある場合等では尿培養施行し感受性など検討する
女性の再発性膀胱炎の個人差には、大腸菌の尿路上皮細胞への親和性が関与(板金先生コメント)
NEJM(板金先生改変) 繰り返す膀胱炎の治療アルゴリズム
尿培養は必須である
血液培養陽性か陰性か、で治療期間は変わらない
治療開始後72時間で改善見られない場合画像精査が必須
抗菌薬投与期間は短縮される傾向にある
尿培養のフォローアップは妊娠例のみに
尿検査・尿培養は必須、膿尿無しは否定に使える
80%はGNRでその大部分は大腸菌であるが 35歳以下ではSTIを考える
通常はフルオロキノロンが最適であるが、敗血症など入院必要な病態では耐性菌への配慮を要する
急性腎盂腎炎と同じく近年治療期間は短縮傾向
レポートしたセミナー : MKSAPで学ぶプライマリケア疾患