西野 徳之
第2版の序 より抜粋
本書が目的としていたのは『腹部単純X線の読影』のためのcoachingであり,画像診断を用いた臨床推論の実践です.
もちろん,診断においては腹部単純X線がすべてではありません. 患者さんに対するきちんとした問診,触診,聴診,打診が必要です.それに加え,採血・検尿,超音波検査などが行われます.以前はその次にCTを撮影することが多かったと思うのですが,腹部単純X線を撮影することで,CTまで撮影の適応を評価することができると思います.診断の精度を上げることは一朝一夕ではできないかもしれませんが,多くの症例を診てゆくと,確実に「透視力」がつきます.
本書ではcoachingを,「病態モデル」の作成を行うことで理解しやすくしました.
例えば,撮影した放射線技師が依頼医に「ここはおかしいからCTを撮影した方がいいかもしれません」と提案し,「それならば撮影しよう」「なるほどやっぱりCTを撮っておいてよかった」となるような,そんな医療連携ができるとすばらしいですよね.